JOINT RESEARCH
共同研究

LED TOKYO × 東京大学 成末義哲准教授

LEDパネル装置への無線給電に関する共同研究

研究背景

無線給電の可能性

「無線給電(ワイヤレス給電)」という言葉は、近年ではスマートフォンなどにも採用されており、私たちにとって身近な技術になりつつあります。さらに、マイクロ波方式による無線給電に関する法整備が進んだことで、この分野は近年ますます活性化しています。
一方で現在、LEDパネル装置への電力供給は主に有線ケーブルによって行われています。将来的に、これを無線化できれば、大型のLEDパネルにおいては設置作業の迅速化、輸送コストの削減、設置場所の自由度向上など、さまざまな利点が期待されます。

無線給電の可能性イメージ

これまでの研究

無線通信・無線給電・データ解析の最前線

本共同研究のパートナーである、東京大学大学院工学系研究科の成末義哲准教授は、無線通信・無線給電・データ解析の3つの分野を基軸とし、将来的には「通信と給電が同時にできる無線社会」の実現を目指して研究されています。
無線給電の方式には大きく以下の3種類があり、それぞれ特徴があります。

  • 1.  電磁誘導方式:伝送距離は短いが、給電効率が高い(例:スマートフォンの置くだけ充電)
  • 2.  共振結合方式:中距離で安定した効率が得られる方式
  • 3.  マイクロ波方式:長距離伝送が可能だが、給電効率は相対的に低い

これらの方式には、「距離と給電効率はトレードオフになる」という基本的な性質があります。成末准教授は高効率化¹、安全対策²³、他の電子機器への干渉低減といった課題に取り組んでこられました。

共同研究の目的

大型LEDパネルへの無線給電実装に向けて

大型LEDパネルのような高出力デバイスへの無線給電には、多くの技術的課題が存在します。そこで今回の共同研究では、LED TOKYOと成末研究室が連携し、以下のようなテーマに取り組んでいます。

まず、大型LEDパネルに適した無線給電方式を見極めるために、試作と性能評価を実施します。その結果に基づき、今後克服すべき技術的課題を明確にし、段階的な実装に向けた基礎的知見の蓄積を進めていくことが、本研究の主な目的です。

LED TOKYOは、本研究を通じて無線給電を活用した次世代LEDシステムの開発を進め、未来のまちづくりや持続可能な社会インフラの実現に貢献していくことを目指しています。

参考文献

  • [1]  Yoshiaki Narusue, Yoshihiro Kawahara, Tohru Asami
    Wireless Power Transfer, vol. 4, no.1, pp.42-54, March 2017.
  • [2]  Daisuke Kobuchi, Zhengdong Lin, Hiroyuki Morikawa, Yoshiaki Narusue
    Proceedings of 2024 IEEE Wireless Power Technology Conference and Expo (WPTCE), Kyoto, Japan, pp.513-516, May 2024.
  • [3]  松浦 賢太郎, 足立 真志, 成末 義哲, 森川 博之
    電子情報通信学会論文誌B, vol.J106-B, no.3, pp.157-166, March 2023.